屋久島に溶け込む焼き物

縁あって、今回埴生(はにい)窯の山下正行さんの個展DMをわたしが作ることになった。
ことのなりゆきはといえば、とても不思議なめぐり合わせ。
知人の病室をお見舞いに訪れるとどこからか「Tさん、Tさん」とわたしを呼ぶ声。
病院に知り合いなんていないしと思って振り返るとそこに山下さんの奥さんが。
体調を悪くされたようでしばらく入院とのこと。

ちょうど個展前で窯入れ(窯に火を入れる)が近く大変なときなのに、、、と
いつもの元気がないアケミさん。
そんなこんなで普段はギャラリー側が作ってくれるDMが
今回は自分たちで作らなくてはいけないと悩んでいたので、わたし、できますよ!
というひとことから今回のDM制作になりました。

山下さんの作品がもともと大好きだったわたしといたるさん。
屋久島の中で一番素敵なものは何かと尋ねられたら、
間違いなくわたしは山下さんの陶造形と答えるだろうなー。

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最近の作品で、女の子が花をもっているもの。
わたしはこれを見たときにとても心に深くなにかが響いた気がした。
形にすることは時に辛く、それでも形にしたことで救われる気持ち。
たくさんの人々が心につらいことを抱えて生きていて、
それでも人は前に進んで、そしてまた幸せを感じるんだなと。

今回、DMに使う写真の撮影をいたるさんにお願いしてみた。
山下さんの工房兼お家は安房の森の中になり、工房の裏手へいくと、ひっそりと森が佇んでいる。
その中に山下さんの完成することがなかった作品たちがぽつぽつと存在していた。
なんて素敵なんだろう。屋久島に溶け込んだ焼き物たち。
本当に屋久島の森に生息しているように自然にとけこんでいる。

撮影も裏手の森の中にしようと決まり、今回のモチーフのフクロウを置いて撮影開始。
なかなかいい写真が撮れ、5パターン見せてみて、
山下さんとアケミさんとわたしの想いが一緒になって、いい写真を選ぶことができました。

そしてDMも完成して山下さんに見せに行くと、とても素敵だ!と言ってもらえてすごくうれしかった。
小さくて細かなところまで考えたデザイン。
わたしの得意な小細工がとても気に入ってくれたようで、作ってよかったなと思った。

今回のお仕事は、困っていたアケミさんを少しでも手伝えたらとはじまったものだったけど、
山下さんはお礼にと本当に素敵な器を家族3人(ちゃんと一路の分まで)分も用意してくれた。
アケミさんからはわたしの好きな黒糖の大きな大きなふくれ菓子を。わたしのために作ってくれた。
なんて素敵な家族。だからこんなにも温かい作品がうまれてくるんだな。

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わたしが好きな動物の注器シリーズ。
山下さんの作品はふるさと市場などで買えるけど、ぜひ工房へ足を運んでみてください。
工房に併設されたギャラリーにある作品は違うなにかを放っていると思う。
器ももちろん素敵だけど、わたしはやっぱこの愛嬌あるシカや鳥たちが好き。
しかもお水やお酒をそそいで、口から出てくるってとこがまたなんとも言えない。

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ここにいる作品たちは3日3晩炎に包まれ、焼きあがる。
この薪の量をはじめて見たときは本当に驚きだった。
この倍くらいある薪をずっと3日間寝ずに火を焚き続け、そして完成される焼き物たち。
そう思うとより一層、山下さんの作品に心が惹かれるわけだ。
いつかうちのお父さんに鳥のトックリをプレゼントしたいな、、、
大切な人に贈りたい、そんな焼き物なんです。

素敵な出会いにありがとう。今日も頑張ります。
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by niid-design | 2010-06-08 23:38 | いろいろなはなし
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